√番外編作品集

「そうだな、大学行ったら使えるもの……」

「お兄ちゃんが言うには、モノより食べ物がいいよって。だから、お店を選ばない?」

千恵は前日に色々と今日のことをシュミレートしていた。

もちろん河田がいる前提で考えていたので、自分から色々と動かなくてはいけないことも増えた。

が、映画が終わったら潤はすぐ帰るとか本屋とか──1人で黙々と思考の海で泳ぎ始めるような場所へ流れてしまうだろうからと、午後のプランを考えておいたのだ。

プランその1「ねぇ潤、オレンジジュース飲もう」

これはもうマクドで終了した。


プランその2「ねぇ潤、お腹空いてる?」

まだおやつの時間には早い。


プランその3「堀口さんの合格祝い、どうするか考えようか」

今、がんばって発動中だ。

プラン3がうまくいくと、一緒に二条繁華街を歩ける。

特に行く宛はないけれどふらふらしていても「お店探し」なのだから問題ない。

気まずくなることだってないし、途中で可愛いカフェがあれば入ってケーキなんかを食べればいい。そこが気に入ったらそこで──

「山岡」

腕を引っ張られて、千恵が驚いて身をすくめる。

千恵は人の波に正面からぶつかろうとしていた。

「すみません」

驚いて口が動かない千恵の代わりに、潤が対向を歩いていた人物へ詫びる。

千恵はやっと状況を理解して追いかけるように「すみません」と謝罪した。

「店観て歩くのもいいけど人も見て歩けよな」

「うん、ごめんつい──」

違うことを考え始めていた。なんて言えない。

「敦子とか女って、今にもすっこけそうな靴履いてるくせに視線は遠くで本当に手元が危ないよな」