√番外編作品集

「ざーん! 87点!」

翌日、康平は休み時間に小テストを机の上に置いた。

先ほど返ってきたばかりの物理の小テストの結果だった。

「がんばったな、お前にしては」

潤は静かにその上に95点のテストを重ねた。

「げっマジ、お前」

「残念でした、私満点なんだ」

さらにその上に千恵は100点、と書かれた小テストを重ねた。

「私構造のエネルギー計算好き!」

「はぁ、マジかよ……俺が言い出しっぺなのに」

康平はがっかりしながらカバンの中から、スイート・シーズンズのチケット2枚を取り出した。

「はい、山岡ちゃん、黒沢」

渡されたチケットを山岡千恵は喜んで受け取ったが、黒沢潤はさほど興味がないようだった。

「オレンジジュースって言ってなかったか? なんで映画のチケットに化けるんだよ」

「映画行けばポップコーンと一緒に飲めるだろ」

「楽しみ。王様のブランチでね特集してて、行きたかったんだ」

「どういう映画?」

潤は興味なさそうにチケットを裏返した。

「恋愛映画、記憶を無くしたイギリス人、コネリーに届いた1つの包みが……」

そこまで言って潤はパタ、とチケットを伏せた。

興味がないというサインだった。

「おい、そりゃないだろー」

「河田が行けば?」

「お前も来い。オレンジジュースなら俺が奢るから、てか俺は実費で見るんだから」

「でも学生3人だったら1人1000円だよね」

千恵も勢いをつけて康平の後押しをする。

「なんでそんなに見たがってるわけ、お前ら」

素朴な疑問に康平は微笑みだけ返した。

ふっふっふ、お前が行くなら山岡ちゃんだって行くに決まってるだろうがよ。

ダシにさせてうまうまさせてもらうからな!!

千恵はもちろん一緒に映画に行ってみたいという純粋な恋愛感情だが潤には伝わってはいないようだ。

「とにかく流行りモンはチェキ、これ常識だから!」

康平はテストの上から手をポンと置いて、大きく頷いた。