「応援、先輩もしてくれたのに、私、だめでした」

先輩の輝かしい笑顔

光の輪を集めたみたいな明るい瞳

その瞳が頭の中いっぱいに広がった。

ぱ、と明るくなった世界に飛び込んだ。

その白さが、全ての音と悲しみを飲み込んでくれるように思えた。



クラクション音は聞えなかった。



聞えていたのは

先輩の歌声と

光の中でこちらを見ている先輩のシルエットだけ。


体が揺れて指が通話ボタンを押した。

千恵に発信をしながら、私の体は地面に転がった。

もう一度ケータイの画面を見ると、転がった衝撃で発信は途切れてしまったのか、待ち受けは、死の待ち受けに戻っていた。

千恵に伝えたいことがあったのに

体中が熱くて何も思い出せない。