降りしきる雪に混じって、ひそひそと、あたりをはばかる話し声がします。
「ふぅ、やれやれ、重かったぜ」
「ああ、じじぃとばばぁ相手にしちゃあ、大仕事だったな」
「へへっ、あいつら、朝んなったら腰抜かしちまうぜ」
「あ~あ、思わぬ野暮用で、昨夜はすっぽかしちまったから、観音の奴、むくれてやがるだろうなぁ」
「なぁに、かんざしの一つも買ってやりゃぁいいさ、今夜はパァっといこうぜ」
「そうだな、心気臭ぇ年寄りの事ぁ忘れて、綺麗どころと騒ごうぜ」
ギュッ、ギュッ、ギュッ・・・
「誰か来やがったぞ、急げ!」
「いけねぇ、並べ並べ!」
ギュッ、ギュッ、ギュッ、雪を踏んで、おじいさんがやって来ました。
「ありがとうございました。あんなに米俵を頂いて。これは、ばぁ様がこしらえた餅でございます、どうぞ召し上がって下さい」
おじいさんは、お餅をお供えして帰って行きました。
「・・・・・俺達の分まで、わざわざ・・・・」
「自分たちだけで食えば、たんと食えるのになぁ」
「あのじぃさん、他に笠を持ってなかったんだなぁ、あんなに頭に雪が積もっちまってよぅ」
「ちっ!しょうがねぇなぁ、誰か大黒にナシ付けて、今夜、船で来るように言っとけよ」
「あぁ、船一杯に荷物積んで来るようにな」
「あ~ぁ、綺麗どころは、またお預けかぁ」
「あん?おめぇ、笠返すか?」

こうして、おじぞうさん達は、今夜も、おじいさんの家に行くことになったのでした。
今夜は、七福神の宝舟に便乗して。