ギッ...
古く軋むベンチは
ぎこちない僕らを支えた。
沈黙が続く―
「どうしたの?いきなり...」
そらが口を開く。
「ただ...会いたかっただけ」
僕はそっぽ向いて言った。
「そっか...」
また沈黙が続く。
ポタッ...
水が落ちる音。
「風呂入ってきたの?」
「う、うん...」
頭を乾かさないで
来たようだった。
「風邪引くじゃん。
馬鹿じゃないの?」
「だって...」
考えてみれば僕は
何も考えずに
会おうなんて言っていた。
「ごめん...俺のせいだよな」
「ううん?叶くんのせいなんかじゃないよ!」
そらはそう言って僕の
腕を掴んだ。
「というか、叶くんだって
風呂入ってきてるんじゃん」
そう言ってそらは
クスッと笑った。
実際僕も髪を乾かさないできた。
「お互い様だね」
そう言って笑いあって
僕たちは心の距離を
縮めあっていた。
