ぬるい風が吹く中、
僕はうつむきながら
愁悟が話すのを
ただただ待っていた。
「お前、なんなの?」
それが愁悟が放った
最初の言葉だった。
「何が?」
「莢花のことだよ
他に何があんだよ」
愁悟はとても
怒っていた。
「あれ、俺の元カノでもあって
今カノでもあるから」
「は?」
愁悟は僕に近寄って
僕のむなぐらを掴んだ。
「俺が好きなの
知ってんだろ?」
「知ってるよそんなの
けど俺の方が莢花のこと
知ってるし、
先に出会ってる」
僕はムキになっていた。
「そんなの関係ねえんだよ」
「どうしてほしいんだよ?」
僕は冷静に言った。
「今すぐ別れろよ」
僕は恋愛よりも
友情を取る人だった。
「わかったよ」
僕はそう言い放って
莢花の元へと
重い足取りを運んだ。
