安原は苦笑した。









雪洞は依然として背を向けたままだ。









「私を虜にした。これで・・・最後ということか?」








「わっちの手に落ちた時点で戦は終わり。わっちの勝ちでありんす。」









「敗者と言っても、そなたを愛した男。振り向いてもくれないか。最後にそなたの顔を見せておくれ。」










安原は哀願した。









雪洞は嘲笑した。










「敗者に情などありんせん。」










不敵の微笑みを残して、遊女は月の光へと消えていった。