「悪いねぇ。雪洞。暑いだろ?座敷から出たくないんだな。」









織閖の言葉に、雪洞は、容赦なく睨む。









「桃。危ないから下がりんさい。」








雪洞の危険を察知した織閖が、桃を外に出した。









「ったく・・・」








雪洞は、ドカッと腰をおろし、煙管に火を付けた。









「雪洞には、言おうか迷ってたんだけどね。女将さんがどうしてもってね。」









「やっぱり・・・安原信一はアレだった。」








雪洞は、静かに溜息をついた。







「雪洞、大丈夫?思い出すもんね、風鈴姐さんのこと。」









「わっちは、あの頃のわっちじゃない。」








「強く・・・なったんだ。」