いつも俺はそうなのだ、千夏に対して素直になれないまま悶々として憂鬱な高校生活を送っている暗い奴。ダメな奴。救いようの無い捻くれ者。それが俺。

「別に、か。まあいいや、うちのお母さん、お父さんと二人でさっさと花火大会に出掛けちゃっててさあ、いつまでも仲が良いのは結構な話なんだけど、あたしの浴衣を着付けるの完璧に忘れたっぽくて、それで今、大慌てで着付けしてもらったんよ」

「ふうん。それで?」

「もう。よっちゃん、子供の頃からの天邪鬼は相変わらずなんやね」

「うるせえよ、それでなんなんだよ?」

「もう、ほんっと、いつまでも手が掛かるねえ君は……」

「あのな、そんなの誰も頼んでねえよ」

「あっ……」

最初の花火が打ち上げられたのだ。それで俺も思わず、あっ――と口に出していた。

放射状に弾けた彩から少し遅れて音が鳴る。

それは子供の頃、千夏と手を繋いで見上げた夜空と同じだった。

「今年も一緒に見よう、花火」

横の小窓を開けて、彼女がいきなり顔を出した。

驚いて咥えていた煙草を落としたが、綺麗だな――なんて俺は絶対に言わない……ぞ。



短編『花火』了。