きっとあの時から――…






蓮side
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初めて会ったあの時からだった。


あいつは他の奴らと違ってて…









「あ、もしかして」

「?」


前の黒板を見ながら自分の席へと向かう。

教室に残っていたのは1人の女子生徒。

特に興味がないから、すぐに机の上を片付け始める。


「小宮蓮くんでしょ?」

「…あぁ」

「私、隣の席になった夏野琴羽。よろしくね」

「あ〜…うん」


俺の態度にも態度にも動じず自己紹介までしてくる相手に適当に相槌を打っていると大量のプリントが目に入った。


(こんなに印刷してんのかよ…。金のかかることで)


小さく息をついてふと、一番上の紙を見る。

保護者宛てのプリント。

入学を祝う言葉から始まり、うんぬんと細かい文字が並んでいる。

…と、俺の視線に気付いた女が自分を指差す。


「あ、それ。まとめといた…」


―――ガサッ…


「……」


女の言葉を聞かずに、プリントを全てごみ箱に捨て去る。

女がそれを見て、慌ててゴミ箱に駆け寄ってきた。


「え、なんで捨てるの!?」

「は?」




なんだこいつ。




眉を寄せていると、ごみ箱を覗き込んでいた女が顔を上げて俺を真っ直ぐに見据えた。