「村の伝説は分かった。

で、あんたは俺らの事をどうするつもりだ?」


眉を寄せそう言うお兄ちゃんに悠生さんは小さく笑った。


「お前は住民票無しでここで隠れて暮らせ」

「…どういうことだ?」


「偽物の住民票なんて受理出来ないからさ。

表面上は住民票がないままで暮らせ。

医療費とか仕事の事は気にしなくていい。

俺らがなんとかしてやっから」


嘘みたいな悠生さんの言葉にあたしはまばたきを繰り返した。

「ほんと…ですか?」

「ああ」

お兄ちゃんはまだ眉間にシワを寄せたままだ。

「待て。なんで見ず知らずの俺らにそんなに親切にしてくれるんだ?」