そんな日々が半年続いたある、暑い日。


2人は海に身を投げた。

一通の遺書を残して。


以下は遺書の一部である。


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拝啓 村の皆さん。


皆さん、こんな形で最後の言葉を告げる、不甲斐ない私達をどうか許して下さい。

今まで、私達の為に沢山善意を尽くして頂き本当に有難うございました。

この村の一員であれた事を私はとても幸せに感じます。


何度言っても足りません。
本当に本当に
有難うございました。


皆さんの中にも、もうご存じの方もいらっしゃると思いますが…

夫はもう長くないと病院を出る時から言われていました。


もって3ヶ月だろうと。
でも私達はけっして、諦めませんでした。

夫も必死に病魔と戦いました。


そしてもうすぐ夫が余命宣告をされた日から半年になります。

夫は先日、初めて弱音を吐きました。


"もう、楽になりたい"と。


私は…夫がいなくては生きていけません。


けれど、夫は楽になりたいと言いました。


それは……死にたい、と言う意味で。


夫が死んでしまうのなら…


私は生きている意味はありません。