「なぁ、なんで偽物の住民票なんて渡したんだ?」


「………」


黙っているあたし達に悠生さんは溜め息を付いた。


「言えない理由があんのか?」



「あぁ」



短く呟いたお兄ちゃんを見上げると、目があった。

"大丈夫だ"



そう目が訴えているような気がして、すこしだけ楽になった。



「安心しろ、まだ偽物の住民票渡されただなんて誰にも言ってねぇから」