『痛いっ!!健太郎!離して!!』

苦痛そうな口調で女性が言うと、その女性の腕を掴み、歩いていた健太郎が振り返った。


『どういうつもりだ?』


『は?どうって…彼氏の浮気相手を懲らしめてたのよ。』


息を荒くして女性が言った。

『お前とはもう無理だって言ってるだろ!』


『一方的にね。あたしは認めない。』


『もう、前みたいには戻れないんだ。解ってくれよ。』

『何もわからない。』


女性は頭を振った。
目には涙をうっすら浮かべて、充血している。


『俺に優への愛情がない時点で俺等は終わってる。』

健太郎は目を伏せて言った。


『………何でよ…』


"優"と呼ばれた女性は俯き、消え入りそうな声を発した。


『ごめん………………』


健太郎は頭を下げた。