「「「「「「ありがとうございましたーっ!!!!」」」」」」


部活が終わったのは、太陽がいつ落ちたのかも分からないぐらい遅い時間帯。
校舎にある大きな時計を見ると、もぅ8時半になっていた。
コートに中に散らばった白い軟式ボールを拾いながら、彼女のことを考えていた。



何日――…


ぃや、何ヶ月会ってないんだろう……。


俺は某男子校の軟式テニス部に所属している川崎渓也。
中学の時に県大会で優勝して、地方大会にも賞状を貰った。
その腕前?で、県では有名な強豪校からスポーツ推薦が来た。
俺はそこに行きたかったから何も考えずにそこを受けた。
でも、麻弥の事を考えていなかった。



俺が通っている高校は、家から電車3つぐらい。
って言っても車で30分もかからないような距離だ。
彼女の麻弥が通っているのは公立の共学高校。
麻弥がいなかった“共学”って事が羨ましかったにちがいない。



「渓也どうした?」

「えっ?」

「考え事?」


ペアの高畑が訊いてきてハッとした。


「なぁ…何ヶ月も会ってないと嫌われるのかな?」

突然こんな事を訊いて高畑は無言が長かったけど、返事は返ってきた。


「なんじゃないのかなぁ…。」

高畑の言葉に胸はズキンとした。
麻弥には嫌われたくない。
でも部活は毎日こんな時間に終わって会う事はもちろん一緒に帰る。なんてできやしない。
他のカップルはこんな事ないんじゃないのかな…。
ときどきクラスの奴が「今日は会うから迎えに行かないと…」なんて言っているのをみたけど、本当に羨ましい。
スポーツ推薦なんてもらわなかったらよかった。
って思った。



「何?渓也ヤバイの?」

ニヤニヤしながら言ってくる高畑。
俺は本気で悩んでいるのにコイツの顔は本当に今見るとイライラする。

「だとしたら…」

「俺は―――」

「?」