-君に愛してると言いたい-

ずっと準備ができるのを待っていた。

熟していない果実を食べても、甘さはない。いつまでも尾をひく酸味だけ。


いくら男に体を開いても、恋はわからない。

今の相手、タケルだって。
あと2ヶ月もすれば、私の背中の産毛や、小さい桜貝のような足の小指の爪を目にすることはなくなるんだろう。

そして私も、彼の胸に耳を押し付けた時聞こえる鼓動や、彼の髪に指を通したときの感覚を忘れてしまうのだろう。

私にとって、男女の仲なんて、そんなもの。

早く、恋を知りたい。