「ねーねー。今度はあたしがキサキに聞いていい?」
「ん?」
春の屋上はぽかぽかで気持ちがいい。
あたしたちは二人並んで寝ころび空を見上げていた。
「楢橋のこと、好き?」
「なんで?」
「えー…じゃあ、気になる?」
「うーん…あたしもさっき気付いたんだけど、気付いたら楢橋のことばっか頭にあるんだよね」
「ふーん」
咲子のニヤついた顔。
なんだかおかしい。
「例えば楢橋とのどんなことが浮かぶ?」
咲子にそう言われると、あたしは思ったまま答えた。
初めて見たときはめちゃくちゃ怖かったこと。
短期間でだけど、楢橋の中がちょっとだけわかった気がしたこと。
―そして、今はあたしがひどいことを言った時に言われた言葉と顔が、ずっとリピートしてるってこと。


