「ありがとう!!ありがとう中村っ」
ばかじはそう言って走って行ったんだけど、
なんで卒業式の日に告白しなかったんだろ。
咲子とは別の中学行っちゃうしさ。
何がしたいのかまったくわからない。
あ、ばかじだから仕方ないか。
「そっかそっか。友達。ごめんな二人共!」
「俺帰る」
楢橋はそう言うと路地の角を曲がろうとした。
「ちょっと、なんでっ?」
あたしがそう言うと、
「俺あいつ無理」
楢橋の視線の先には、
「ええっ(汗)」
全く申し訳なさそうじゃない顔のばかじ。
空気読めない奴!
「嫌いとか通り越して『無理』だってさ。ばかじおもしろいよね(笑)」
必死に笑いをこらえる咲子の隣にいるあたしは、ずっと楢橋の寂しそうな後ろ姿を見ていた。


