「ちょっとキサキ!何でいきなり走ったわけ!」
「…ごめん」
「まあいいけど、あいつ、集金っつってたよね」
「言ってた」
「ヤミ金的なやつの取り立てかな」
「だろうね」
「わー、中学生でもやっぱ違うんだなー、楢橋って!」
「何、咲子楢橋が好きなの?」
「バカ言わないでよっ(笑)。アタシは拓海ヒトスジだっての。ちょっと面白いじゃん、興味わく」
咲子は目を輝かせて言った。
こういうのはついて行けないんだよね。
まあ咲子っぽいけど。
「そっか」
そう言うとあたしたちはまた歩き出した。
そうそう、咲子のいう拓海っていうのはただのアイドルだよ。


