「楢橋くーん!!!!!」
突然大きな声がして、あたしたちは振り返った。
走ってくるのは女子、女子、女子。
すぐさまあたしたちは気付かないフリをして、そのまま歩き出すけど。
「楢橋くーん!!!待ってー!」
「わたしたちファンクラブ作ったのー!」
「中村さんなんかほっといて遊び行こー!」
だだだ第二次楢橋ブーム到来…
すると竜は「嫌だ」と小さくつぶやいて、あたしの手を掴んだ。
「えっ、えっ、」
「逃げるぞ。」
「あたしまで巻き込まれるの?!」
「当たり前。」
ふふ、と嫌味に微笑んだ彼は、走り出した。
「待って!」
あたしも、行くよ。
手を繋いで。


