「じゃあなんで…」 「なんでも。好きな気持ちは俺も同じだから」 そうか… そうだ。 好きな気持ちは消せない。 消したくないもん。 「きっとまた、楢橋となんかあったんだろ。行ってこいよ」 山森くんがそう言った。 静かで、だけど透ったその声。 楢橋に似てる、その声。 だけど楢橋とは違う。 「ありがとう」 そう言って、あたしは保健室を出た。 出会う順番が違ったら、未来は変わっていたかも知れないね。