「あ、もうチャイム鳴るじゃん!!!ささ、早く戻らなきゃ」 咲子の言葉で皆は一斉に立ち上がった。 「キサキ、はやく!もう先行ってるよ」 みんなが階段を降りるなか、楢橋があたしに言った。 「中村、いくら無理矢理言われても、好きでもない奴に告白なんかするなよ」 「へ?」 ―あ、あれか。 あのとき、確かに言った。 楢橋にも聞こえてたみたいだけど。 でも、あれは嘘なんかじゃないよ。 「違うもん。」 「は?」 「あたしも、好きでもない奴に告白なんかしないよ」