明日美ちゃんが笑って言う。
「でもよかったよね、ほんと。うちなんかあの雰囲気怖すぎてなんにも言えないよきっと。キサキちゃん凄いと思う!」
「そう?ありがと(笑)」
調子に乗って、そう言うと楢橋に怒られた。
「ありがとうじゃねえよ。なんで一人で喧嘩しに行った訳。いちいち相手にしなくていいことを―」
「相手にするよ!あんなこと言われて腹立たないの?!」
思わず前のめりになる。
楢橋のことなのに、楢橋がそう言うのはゆるせなかった。
「腹立つよ!でもそれはお前がやることじゃない」
初めて楢橋が怒鳴った。
いつも静かで、口は悪いけど本気で怒ったりしない楢橋が。
「まあまあ二人とも、終わったことなんだからさ」
圭斗くんがあたしたちのあいだに入る。
「…ごめん。」


