許せなかった。 自分たちが勝手に「王子さま」なんて言いだしておいて、フラれたら「うざいきもい」だと? ばっかじゃないの。 心が勝手に動き出して、廊下近くで固まって話している女子とぶつかった。 「いったい!」 あ。楢橋に告白してたコだ。 顔はよく覚えてる。なんたって人の顔の記憶力だけはいいからね。 「ねえ。1組の教室に楢橋のこと書いたのってあんたたち?」 ドンとかまえた女子たちは、少しづつ顔が怖くなっていく。 ―やっぱり。絶対こいつらだ。 あたしも負けじとにらみ返した。