「…あ、ここでいいよ。付き合ってくれてありがと」
あたしは小学校の側で、山森くんに言った。
家はもうすぐそこだ。
「…わかった。へぇ…中村の家って小学校の側なんだ」
「うん」
…あと、山森くんはそうつぶやいて、あたしを見る。
「中村って楢橋と付き合ってんの?」
皆からは、そう思われていることはあたしも知ってた。
…でも、山森くんがそんなこと聞くなんて思わなかった。
「違うよ。誰とも付き合ってない」
事実を述べる。
「…付き合ってるのかと思ってた。違うんだ」
「うん」
苦い味がした後、あたしは山森くんの次の言葉に驚いた。
「じゃあ中村は楢橋のことなんとも思ってないんだ」


