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「ちょっと。何してんの」
アタシは大きい体のくせして頑張って物影に隠れていた彼に言った。
「うわ、野中」
何よ楢橋。驚かれてもさあ、あんたの方があやしいよ。
「楢橋。そこにキサキいるじゃん、なんで行かないの」
凛とした瞳の奥。
楢橋って意外とキレーな目してんだよね。
ヤクザと言われたわりには。
「…山森といる」
寂しそうに、楢橋は言った。
「二人何喋ってんの?」
「…知らねえ。一緒に帰るみたいだな。俺も帰るか」
「ちょっと!」
あたしはフツーに帰ろうとする楢橋を急いで止めた。
「…楢橋あんたは何しに来たのよ?」


