「…名前もわからない、彼女の残したものは、このガラスの靴だけだ」
上手く片方だけ脱げたあたしのガラスの靴を持って、楢橋は言った。
ここからはしばらく、あたしは登場しない。
相当練習したもんね、靴脱ぐの。
これで失敗したら最悪だったよ。
…そんでもって、益々女子の熱はヒートアップしてる。
楢橋がイケメンだって気付いたんだもんね、もう「ヤクザ!?逆に格好いい♪」とか言いそう。
でも、楢橋はきっと女子には見向きもしないだろーなあ(笑)
「うざい。」
とか言ってそう。
「…そうでもないんじゃないの?」
気付くと隣の咲子が、あたしに向かって眉を上げて、つぶやいていた。


