「まだ掃除が出来ていないじゃないの!まったく何にも出来ないなんて呆れるわ!」
「ご、ごめんなさい!今すぐに終わらせますっ」
「シ、シンデレラ!はやく、掃除を終わらせて…え?あっ、終わらせたら皿洗いよ…!」
「カットカット~!」
只今劇「シンデレラ」の稽古中。
脚本は愛ちゃんが咲子の要望も聞きながら書いてくれて、監督はもちろん咲子。
放課後の今は、役がある人と咲子が残って台本を読む練習中。
「佐藤!バッカじゃないの!なんでこんなに棒読みなわけ?!心こもってないし」
「まだ始めたばかりだから無理じゃん!別にちょっとくらい間違えたっていいだろ」
「ちょっとじゃないよ。佐藤のセリフだけ減らすしかないね、こんなにできないんじゃ。山田を見習いなよ」
咲子がそう言うと、佐藤くんの隣に座っていた山田くんは、「ざまあみろ」というような顔で舌を出した。
「わかった。帰ったら家で台本読んでくるから勘弁してくれ」
「―承知。」


