「先生、娘の体は!?どうなんですか!?」


「いやぁ、電話でお話しした通り、こんなケースは前例がありませんからねぇ。私達もどうしたらいいものか………………この、レントゲンを見て下さい。」


出されたのは、胸部レントゲン写真。


よーく見ると、胸と肺にポツポツと、細かい点が集まっている。


「ご覧の通り、胸と肺に注射針の大きさで、水銀が溜まっています。」


「そんな…これから、どうなるんですか!?まさか………死ぬ…なんて事…」


母が興奮しながら、医師に問いかける。


「先程も言ったように、前例がないんですよ。ですから、これからどうなっていくのか、分からないんです。もしかしたら、ここに留まっていてくれるのかもしれない。もしかしたら、出産等でいきんだ時に、細い血管に入り込み、血管が破裂するかもしれない。とにかく、血液の中に入ってしまっているんです。治療のしようがありません…」


「何てこと…」


「嘘だろ…」


二人をよそに、私は冷静に聞いていた。


何で生きてるのかわからなかった。


「君、何でこんな事したんだい?シリンダーも、何で持ってたの?」


「シリンダーは知り合いの医者の所から、パクってきた。私はただ、死にたかっただけ…私、死なないんですか?」


私は天井を見つめたままそう言った。


「今すぐ死ぬ…と、いう事はないでしょう。点滴が終わったら帰っていいよ。病院にいても、する事がないから。お母さんは、ちょっとこちらへ。」


母は、心配そうに私を見ながら、ICUを後にした。