私は電話を切ると、



「お母さん、ごめんけど二時間位、健斗見てて!」



「ちょっと!りんちゃん!!どこ行くの!?」



「………。」



私は、母の問いかけを無視し、家を出ると健の家へと車を走らせた。



太っていようがこの際関係なかった。



ただひたすら、健のコトが心配だった。



自分も鬱病を持ってるだけに…。



゙健…!健……!一体どうしたっていうのよ!!″



゙私が結婚したから!?″



゙それとも、かすみちゃんのコト!?″



いくら考えてもわからなかった。



それよりも、健が引き込もっているコトすら信じられない。




健の家に着くと、私はインターホンを押した。



何の迷いも躊躇もなく。


出てきたのはおばちゃん。


「こんにちは。健に会いたいんですけど…。」



「りんちゃん…。居るんだけど、鍵をかけられてるから、中の様子がわからなくて…。」



「おじゃまします!」



私は半ば強引に家へ上がると、健の部屋のドアを叩いた。



「健!居るんでしょう!?りんだよ!!開けて!!」



………………シーン。



出て来ない。



声も返って来ない。



おばちゃんも、私の後ろに心配そうに立っている。


「中には居るんですよね!?」


「ええ。居るはずなんだけど…。」



もう一度、強く叩く。



「健!お願いだから、開けて!!」



それでも、ドアは開かない。



私は庭に出ると、健の部屋へとハシゴをかけた。



「りんちゃん、気をつけて!」



おばちゃんの期待を一身に背負い、私はハシゴを登る。



窓に着くと、カーテンが閉めてある。



隙間から覗くと、健が体操座りでうずくまっている。


゙なんだか、小さく見えるよ。″



窓に手をやると、窓は開いていた。



私は勢いよく開けると、部屋へと侵入した。