「流産ですね。掻爬(そうは)手術を明日、朝一番でしますので、今日は入院して下さい。」



「わかりました。」



母は、きびきびと入院手続きをしていた。



私は、ただ、ぼーっとしていた。



妊娠しているコトを黙っていたコトも、母は、責めなかった。



私の精神状態を見て、何も言えなかったのだろう。






「じゃぁ、りんちゃん。今日は、何も考えずにゆっくり休んで。」



私は、



「うん。ごめんなさい。」



「じゃぁね。」



そう言うと、母は、病室を出ていった。



母が出て行った途端、私は、涙が溢れだした。



今度は、わかる。



この涙は、赤ちゃんがいなくなったコトが悲しいんだ。


何だかんだ言っても、私はこの子を『愛してた』んだ。



産んであげたかった。



私が薬なんかするから…。


飲み歩くから……。



援交なんかするから……。


流れて当然だ……。



神様が『罰』を与えたんだ。



私なんか、母親になれないから、取り上げられたんだ。



自業自得だ……。



私は、一晩中泣いた。



どんなに泣いても、赤ちゃんは戻ってこない。



どんなに泣いても、私の『罪』は消えない。



時間は戻らない。



私は、健を失い、赤ちゃんを失い、健康な体を失った。



『浮気の代償』は、思っていたより、大きかった。


このコトがきっかけで、私に、人生の転機が訪れる。