「なんでって……ってか奈都は神尾仁のこと知ってるんだ。」




あたしは興味なさそうな言い方で揃え終えたプリントを地面に置いた。




「“知ってるんだ”って………逆に美桜は何で知らないの?」




奈都の頭には“?”が何個も浮かんでいた。





「いや。知らないものは知らないから。ってか神尾仁って何者なわけ?さっきから“仁様”“仁様”って。やっぱ俺様態度とってるから?」




「ってか俺様態度って何?もしかして美桜人違いとかしてる?っあでもな……神尾仁って人この学校で一人だけだしな……」




顎に手をあてながら何度も奈都はぼそぼそと独り言を言っていた。




「何独り言言ってんの?」




あたしは奈都の独り言を遮った。




「だって仁様って超優しくて超かっこよくて超頭よくて超運動神経いいんだよ?しかもサッカー部のエースだしさ?おまけに生徒会長だし♪こんなに素晴らしい人なんかそこら辺にいないよ。」




神尾仁について熱く語りながらも奈都の表情は緩んでいた。