「心配してくれて。」
すると「ああ。」と言って神尾仁が椅子を座り直した。
「あたしさ、今すっごく迷ってて……初めての心臓のドキドキとか、体の固まる感じとか、急に上がる体温とか………もうどうしていいのかわかんなくなって……」
あたしの1つ1つの言葉に「うん」と返事をしてくれる神尾仁のあたしを包み込むようななんとも言えない優しい声があたしの耳に心地よく入ってくる。
「奈都が言うにはこれが“恋”だっていうんだけど、あんまりピンとこなくて……」
「うん。」
「……ねぇ……神尾仁ならこの感じをどうとらえる?」


