あのあとどれくらいの時間が経ったんだろう?
この空間にいるのはあたしと神尾仁の2人だけ。
さっきまでいた保健の先生は職員室に行くだか行かないだか言って出ていってしまった。
神尾仁はあたしの横で椅子にだらしなく座ってずっと下を向いたまま何も話さない。
全く動かないというわけではないけど、動くとしても時々椅子に座る体勢を崩すくらいだ。
そんな神尾仁を横目で見るものの話していいのかもわからないあたしは、ただ窓を通して見える学校の中庭の景色を見ることしかできなかった。
無駄に広がった青空にある太陽の光が庭にある木を照らしていて、それが何とも言えないような美しさだった。
その中で時より吹いてくる緩やかな風が木の葉を揺らす。
その時に聞こえてくる葉と葉がかすれ合う音があたしの耳にすんなりと入ってきた。
気を紛らわすために見ていた景色をいつの間にか時間を忘れるくらい見入ってしまっていた。


