今のあたしはキスされたことをすっかり忘れていた。 というかされたことすら記憶の中から抹消しようとしていた。 「お前……名前は?」 「…………長沼…美桜……ですけど?」 「ふーん。」 口を尖らせながらそう呟いていた。 「じゃあ美桜。」 「ちょっと待って。なんでいきなり呼び捨「今日から俺の彼女だから。」 この言葉であたしの頭の中が一瞬フリーズした。 「んじゃ。そういうことで。」 そう言ってそいつは歩き出した。