どことなくぎこちなくて冷たい。


でもあたしには優しく聞こえた。





「俺がもっと近くにいたらあんなことなんなかったのに……」





顔は見れないけど声だけでわかる。



なんだかんだ言ってこの人なりにあたしのこと心配してくれたんだ。





「うん。でも……」





あたしは神尾仁の腕を解いた。





「いっつも近くにいられちゃ困る。」




「なんでだよ。」





「だって何されるかわかんないもん。」





「それってキスのこと?」





意地悪な顔で微笑する神尾仁を見て身震いした。




「いや。それはムリ。」




なんでかな?



今、神尾仁の言葉を嫌がらなかった。




この人になれちゃったのかな?




それとも………














まさかね。