「いや、うーん」 お金が無くなりましたと言えば済むけど そうすると彼女が貢がせていた事を責めるようで気が進まない。 「お金無くなった?」 「え」 あっけらかんと言い放つ彼女に 俺はしどろもどろになる。 「いやあのコーヒーでもいれようか」 「いらん。」 そう言って彼女はバシン、とテーブルに紙袋を置く。 零れたのは、紙屑のように溢れる一万円札。 「返す。」