「あっ‥こんにちは‥私‥石川みゆと言います。貴志くんいらっしゃいますか?」
「まだ帰ってませんけど…」
「貴志くんのお姉さん?」
「いや…ちがっ…」
違うって言おうと思ったら目の前の元カノみゆちゃんの目から涙が…
それを見て言葉が止まってしまってちゃんと違うって言えなかった
「…どうしたの?大丈夫?」
「…泣いちゃってスミマセン。私‥貴志くんと付き合ってたんですけど‥好きな人が出来たから別れて欲しいって言われて‥私は‥ずっと‥好きだったんです‥」
私は何も言えなかった
黙って聴くしかなかった
みゆちゃんが話を続ける
「…諦めようって思ったけど…お腹の中に…ヒック…ヒック…」
そこまで言って泣きじゃくるみゆちゃん
お腹の中に…
今確かにそう言ったよ…よね
それって赤ちゃんがいるってこと…?
「…あのぉ…ヒック…お姉さんにこんな話…ごめん…なさい…ヒック…今日は帰ります…」
彼女は泣きながら帰って行った


