抱き締めてたら彩が話だした
「ねぇ貴志くん‥誕生日ってずっと親に祝って貰ってたけどお母さんがめちゃくちゃ頑張って産んでくれた日、両親から命を貰った日やから親に感謝する日やなぁって大人になってからそう思うようになってん‥」
俺そんな風に考えたこと無かったなぁ‥
「だからお母さんに電話したらどうかな?」
え~!?
それは恥ずかしい
けど散々苦労も心配もかけてきたし
こんな時しかお礼なんて言えないよな‥
産んで貰ったから今ここにこうして存在して彩といられる
俺は彩に手を繋がれたまま携帯を持ちオフクロに電話した
オフクロに電話なんて滅多にかけない俺がいきなりかけてきて急に「産んでくれてありがとう」なんて言ったから「何いうてんの」って言いながらも涙ぐんでるのが分かった
かなり恥ずかしかったけど電話して良かった
これも彩のお蔭やな‥
「彩ホンマにありがとう」
「彩…最後に最高のご馳走‥彩を食べたい」
彩はめちゃくちゃ恥ずかしそうに「どうぞ」って
一生忘れられへん誕生日や


