蘭と出逢ってから付き合うまでの時間は

はっきりとは覚えてない



ほんと自然な感じで気付いたら一緒にいて

気付いたら傍にいるのが当たり前になってて

気付いたら好きになりすぎてて…





『え…転勤?』

「あぁ」

『いつから?』

「来月」

『ドコに転勤なの?』

「…大阪」

『大阪って…』

「お前…来る?」

『え…でも、仕事あるし別に一緒に行かなくても会えない距離じゃな…』

「お前は離れても平気なわけ?」

『平気じゃないよ…けどそんな急に言われても』

「俺は正直、自信ない…遠距離とか」

『そんな…』

「だから一緒に来てって言ってんだよ」

『……』

「お前が傍にいないの…まぢキツいし」

『………』





それは桜が散った頃に

俺たち2人にやってきた初めての試練だった



付き合って1年
一緒に暮らし始めて半年


常に傍にいる毎日が当たり前になってたから



簡単に逢えない距離は先のない未来へと続く一歩だと思った





「あと2週間しかないけど…返事待ってるから」

『…うん』





だから俺は

蘭を連れて行きたかった