「ん~・・・・」



それは、珍しく涼しい夏の朝だった。



「お母さん・・・起きてるかな?」



私が屋敷勤めを始めて、生活に少しずつ余裕が出来てきた。


お母さんは、デパートで働いている。


仕事も見つかったし、今は少し楽かも。



「あ、おはよう」


「おはよー・・・早いねぇ」


「ん?お母さんも負けてられないしねッ」


「そっかー・・・今日も遅くなると思うから」


「ん。気をつけて行ってらっしゃい」


「行ってきます」



もう少ししたら、このボロ家も綺麗にしてあげられる。


お母さんのためにも・・・頑張ろう。


まずは学校に行って、勉強しないとね!


私は玄関を出て、通学路を歩く。





そのときだった。





「芽依ッッ!!!」


「ユウキ?」



血相を変えたユウキが、私の家の傍にいた。


いつも綺麗なリムジンが、今日だけ悲しく見える。



「コウキが・・・・いなくなった!!!」





え・・・・・?