俺たちが本邸を後にする日。
その日のことは忘れられない。
子供の俺にでも分かった。
車の後ろに立っている、兄貴の憎しみの目。
光なんてものがなかった。
俺は、兄貴が親に嫌われているなんて思ってなかった。
むしろ、愛されていて、頭がいいからこそ
日本に残されたのだと思っていた。
「兄貴は、親に愛されている」
俺の間違いだったってコト・・・・?
俺は親に愛されていない、そう思っていたのが違うってコト?
逆・・・・・・??
海外にいってから、俺は今までたまっていた感情を爆発させた。
夜遊び、飲酒は当たり前。
賭け事だって大好きだった。
それから数年経った、今年。
俺が日本に戻ろうと思っていた時。
兄貴がコッチに来た。
「お母様、お父様、コウキ。お久しぶりです」
「兄・・・・」
「何しに来た?」
親の言葉が胸に響いた。
愛する息子に・・・何言ってるんだ・・・?

