私が小さい頃に読んだ本に書いてあった。
『どんなにいい人でも、光と影がある』
『その影が見えるとき、人々の心は悲しくなる』
その時かもしれない。
「・・・俺のことで頭をいっぱいにして・・・」
「あっ・・・く・・ん・・・・」
「あいつなんて考える暇がないほどにッ・・・」
あっくんの体温で私は染められた。
私は・・・最悪だ。
一瞬だけ、受け入れてしまった。
大好きだった、お兄ちゃんとして。
私は兄妹がいなかったから、余計に。
悲しそうな顔をしているあっくんが、嫌だった。
救ってあげたかった・・・のに。
違う。
こんな方法、ダメだ。
こんなことしたら、もっと悲しくなるんだよ・・・。

