岡田和也さんの車は黒のワゴン車。至ってシンプルだが、変装ようのものがちょくちょく見える。

「和君ー!!詩織を送ってくれないのぉ?」

「また今度」

そう言いながら車の鍵を回す岡田和也さん。その仕草にキュンッと来た。

「また今度ぉ?今がいーいー!」

詩織ちゃんが腕に絡まるのも無視をして

「楓ちゃんっ行こ?」

と私をエスコートしながら車に乗せてくれた。そんな中、詩織ちゃんの視線が痛いくらいに私の背中に突き刺さる。

「あんまり調子に乗んないでよ、あんたみたいな芸能人潰してやる…ま、入れたらの話だけど♪けど無理だろうね。」

ボソッと呟いた詩織ちゃん。そんな言葉に負けず嫌いな自分は

『自分演技上手いって思ってるかも知れませんが、正直言って微妙ですよ?…それに無理だって言うんなら芸能人になってやるわよ!!!』

と勢いで言ってしまった。その言葉に岡田和也は大爆笑、詩織ちゃんは警戒の目、周りのスタッフさんはビックリしている。

もしもタイムマシーンがあるなら時を今日の朝に戻してほしい。そして一からやり直したい。


でも一度きりの人生。やり直しなんてきかない。これが私のシンデレラみたいな物語の始まりだなんて。