枯れ葉が落ちてしまったのを知り、彼は慌てて彼女の病室の窓に梯子をかけ、窓ガラスにペンキで枯れ葉を描きました。降りるとき梯子から落ちてしまいました。家に帰り安心していると雨が降ってきました。たいへんだ!絵が流れ落ちてしまう!必要な材料をかき集め、大急ぎで病院に行き、窓の絵の上から糊を塗り、必死で乾かしました。窓の向こう、部屋の中で彼女が寝返りをうったので、彼はあわててしまい、梯子から落ちましたが、糊の缶につまづきながらも、落ち葉の山に倒れこんだおかげで怪我はありませんでした。せっかくだから、ちょっとだけ彼女の様子を見てから帰ろう。彼はこっそり病室に入り、彼女のベッドにそっと近寄り、寝顔を確かめると、安心してまたそっと帰って行きました。
彼女は気配で眼を覚ましましたが、すぐには何が部屋に入って来たのかわかりませんでした。赤、黄、茶色のまだら模様で、全身に枯れ葉がびっしりくっついたものが、彼だとわかると、眠ったふりをしました。彼がカサコソと出て行く後ろ姿を思いだし涙が出るほど笑いました。ふと窓ガラスを見ると、下手くそな枯れ葉の絵が描かれ、手形がベタベタと付いていました。今度は本当に涙が出て止まりませんでした。彼女はやがて回復に向かい始めました。