君を愛してる 〜だから死にたい〜

 「あの時に戻りたいな……何も考えなくてよかったあの頃に――」

 この時の美里の目はあの頃を見ていたのだろう。

 遠く

 遠く

 遥か遠く――

 二度と帰る事の出来ない、あの孤児院で過ごした時……

 「せめて……後少しだけこうして居たかったな――」

 美里はそう言って視線を夏の日差しに焼かれたアスファルトの地面に落とした。

 「でも……自業自得かぁ――」