それから俺は暇を作っては美里の病室を訪ねた。

 会話はたいした内容のものではなく、取るに足らないものばかりだったが、それでも美里も俺もよく笑い、お互いがそこに確かに存在している事を認識しあった。

 「そういえば美里、なんで聡子なんだ?」

 「それが私にもよくわからないんだけど、お母さんが言うには私を孤児院の前に置いた時には確かに「サトコ」って書いておいたらしいの」

 「それが何故かミサトになってたわけか……」