いつの間にか、放課後になっていた。


授業は、何も聞いていない。



先生も、何も言わなかった。



「帰ろうか」


愛結に言う。


愛結は、黙って頷いた。



あの日から、愛結の顔に笑顔が消えた。


いや、もっと前からだね。



私は、最近愛結の泣き顔しか見ていない。




私がしっかりしなきゃって思った。


今、愛結を支えてあげられるのは、自分だけだ。



「じゃあ、ね」


愛結を家まで送って、別れを告げた。



愛結は、一言も声を発しなかった。