≪芽依美Side≫

どうして,私がこんな目に遭わないといけないの?

私が悪いの?

悪くないよね?


じゃあ,どうしてなの?

私が悪いんじゃないのに-…!!




こんな病気に罹った自分が嫌い。


葵たちに冷たくしちゃう自分も嫌い。


もう,嫌だ。





「まだ発症はしてないですからね,薬で発症を遅めながら治療していきましょう」


そう言ったのは,眼鏡をかけて顎に髭を生やしたオヤジ。

まあ,要するに医者なんだけど。



「はい」


私は応答したが,恐らくオヤジには聞こえていない。

それぐらい小さな声だったってこと。





でも,私ははっきりと聞いたよ。


『発症を遅めながら』って。


遅めてどうすんのよ?

どうせいつかは発症するんでしょ?


だったら…

さっさと発症させて楽にしてよ。




そんな考え方をしちゃう自分も,



大嫌い。