≪芽依美Side≫

目を覚ますと,まず白い天井が目に入った。


そして,

「芽依美…っ!」

と名前を呼ばれた。


声のした方と見ると,そこには母と葵と愛結の姿があった。


三人とも,すごくホッとした表情を浮かべてる。



しばらく頭がボーっとしたが,やがて意識がはっきりすると昨日のことを思い出した。



葵と愛結と海へ行った。


帰ろうと思い立ち上がると,めまいがした。


―そこから記憶がない。



左手をこめかみに当て,思い出す素振りをしていると,葵が説明してくれた。




気を失った私は,救急車で運ばれ

そのまま半日眠り続けていたらしい。



葵と愛結は,昨日から一睡もせずに付き添ってくれていたみたい。



「ごめんね…ありがとう」


私が寝たまま言うと,三人はそろって言った。



「ううん」



その顔は,明らかに動揺していて…

目線はみんな泳いでいた。



私は,なんとなく不安を感じた。



その不安は,的中してしまった。